つきじだより

つきじだより30

私は看護師、保健師として臨床現場で20年、大学教員として25年を過ごしました。定年の年に「コロナ禍」がはじまり、厚生労働省、東京都福祉保健部感染症対策課等でコロナ感染症が5類に移行するまで、「積極的疫学調査」に携わりました。そして昨年4月から都内の特別養護老人ホーム、(100名収容、平均年齢85歳、90歳以上の利用者が半数以上、平均要介護度3.9)の施設長として勤務しております。

このホームでの施設長の仕事は多岐にわたります。東京都の補助金関係の書類作成、2024年度には介護報酬の改定が行われたため、新設された介護報酬加算取得のための膨大な書類づくり、労務管理、予算管理から始まり、苦情対応、職員間のトラブル対応、さらには看護業務(医務室業務)も自分の意思で兼務をしております。なぜならば、老人ホームなどの福祉施設の看護師の給料が低い為にほとんどが派遣看護師であり、その方々とチームを組まなければならないためです。幸いにも私の赴任にあたって、山谷にあるマザーテレサの修道会のホームレスへの食事援助のボランティアを一緒にやっておられたカトリック信者の看護師が正職員として就職をして下さり、私と共に「高齢者いのちを守る」責任を果たすべく、大奮闘をして下さっておられます。

派遣看護師は、契約で「施設から指示されたこと」しか行いません。私が接した派遣看護師には、3タイプあることに気づきました。一つは定年になった「レジェンド看護師」、「もう責任のある仕事はイヤ!」と笑っておられました。もう一つは、「ブラック病院」で勤務し、自分を見失ってしまった新人看護師。3つ目のタイプは、実力を備えた中堅看護師であるが、病院の看護管理体制に大いなる不満(または絶望感)のある看護師で、「言われた看護業務のみ行って、夜勤もないし、そこそこの給料をもらって、気楽に生きたい!」と言っておられました。このような看護師を生んだ原因は、看護の現場だけではなく、「自分の居心地のよさを求めて、他人に対して無関心時代」のなすわざなのか、はたまた「現代の看護教育」の結果なのか・・・、おもい悩みながらも、あっという間に一日が終わります。

ただし私にとって、特別養護老人ホームの施設長の仕事は、本当にやりがいのある仕事です。
スタッフ、特に介護士をまもるための「産業保健」、慢性疾患患者(入所している利用者)の管理、感染症クラスター発生時の施設管理、介護士への教育(虐待予防、ターミナルケア、パストラルケアなど)、利用者へのターミナルケア、遺族の方達のグリーフケアなど、私の今までの臨床、教育体験を活かすことができるからです。

(文責:同窓会監事 西山悦子 class of 1977)